技術士 総合技術監理部門の考え方

02総合技術監理部門

総合技術監理部門(総監)の考え方

総監とは「マネジメント」のための技術

 総監とは、自分なりの解釈では(狭義には)「うまくやる」「なんとかなしとげる」ための技術であるといえます。マネジメント(management)の動詞部分である「マネージ(manage)」には、そういった意味もあります。


 例を挙げますと「この仕事は○月内に終わらさないといけない。でも品質はしっかり要求されている。仕事の途中で関係者や第三者に事故があってもいけない。仕事をした結果や途中で環境を汚染したり破壊したりしてもいけない。おまけに費用は決まっているし、ああどうしよう・・」というような場面で、全てを成り立たせようとしてもうまくいくはずがありません。

 あちらを立てればこちらかが立たず(品質を上等にしようとすれば時間と費用が増える、急いでやれば事故や環境汚染が起こるおそれがある、など・・これをトレードオフと言います)の状態の時に、優先すべきことを見極めて、うまくバランスをとりトレードオフを回避しながら、仕事をやり遂げるための技術が総監技術であるといえます。

 ちょっと専門的な言葉で表しますと、「部分最適化」のみを図るのではなく、「全体最適」を考えてマネジメントするための技術です。複数の部門の技術者/技術士を業務に携わらせる場合にも、そのような視点で監理することが大事です。

一時の業務をマネジメントするだけではダメ

 しかし、そのときの仕事をうまくやるだけではダメです。場当たり的な対応でも目の前にある仕事を済ませることはできますが、結果として担当者が疲弊したり、情報混乱が生じたり、外注に頼って組織内には何のノウハウも残らないという状況を招いていては、組織の存続や業務の継続が危ぶまれます。

 短期的な対応だけではなく、今後も業務をうまく回していくためには、業務に必要な知識(情報)の蓄積や、必要な情報がすぐに入手できる体制の構築、正しく情報が組織内部に伝わる体制の構築、情報をもとにきちんと業務をこなせる人材の育成(教育)と、携わる人の業務意欲の維持向上などが必要になります。これらをきちんと行うための技術も総監技術です。

総監の最終目的は何か

 総監の目指すものとは何でしょうか。先に述べたように、短期的に業務をうまくやり遂げるだけではなく、中長期的に業務を顧客の要求通りにきちんと遂行できるような体制を構築する。さらには社会状況や法律、組織内部資源(リソース:人や資金、機械、情報など)の変化を踏まえながら、業務がきちんと遂行できる体制を中長期的に継続する。中長期的な「組織と業務の継続」が最終目標であり、そのための技術が総監技術であるといえます。

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