チャット型AIを考える

01コンピューター

2023.4.29

AIが世界を変えるかも!?

2023年、またまた新たなICT技術が表に出てきました。ちまたで話題のチャット型AIです。いろいろあるようですが、現時点で最も有名なのは「ChatGPT」でしょうか。Youtubeやいろいろなサイトで紹介されるようになり、「すごい!」「世界を変えるかも」「ホワイトカラーが駆逐される」など、いろいろな意見が出てくるようになりました。

しかしそこは新技術につきものの「ネガティブ」な部分もあります。果たしてこの技術は世界を変えるのか、それとも・・・。

チャット型AIとは?

チャット型AIとはどのようなものなのでしょうか。ここで私が解説するまでもなく、いろいろなサイト等で詳しく説明されているので、自分なりに理解している内容を記してみます。

  • 会話(チャット)をするように、コンピューター(AIソフト)が文脈を理解して質問に対して答えを返してくれる。
  • あたかも人と人が会話をするように、自然な回答を返してくれる。
  • 条件を付与すると、その条件に応じて答えを返してくれる。
  • 回答の内容は、ビッグデータ解析から得られたものを参考に、AIが自動的に作成している。
  • ビッグデータにない答えは返ってこない。
  • 全く新しく創造的な回答は期待できない。

こんな感じでしょうか。

代表的なAI、ChatGPTの実力や如何に

新しもの好きというわけではありませんが、そんなにすごいといわれているシステムならば、体験してみる必要がある。ということで、代表的なチャット型AIである「ChatGPT」の無料版にユーザー登録して、使ってみました。ご承知のとおりChatGPTとは、OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボットのことです。

画面は実に素っ気ないものですね。基本的に説明やメニューは英語なので、なんとなく感覚で使ってみるしかないですけれど、左上の「New Chat」からダイアログボックスを出して、そこに質問したい内容を日本語で書き込みます。すると、質問の内容や条件、文章の長さに応じてしばらくすると回答が返ってきます。

単純にいうとこれだけのことなのですが、条件を細かく設定すると、かなりそれなりの回答を得ることができます。回答の数や行数、文字数を指定したら、その条件に応じて答えが返ってきます。それもぱっと見は非常にスマートな文章で。

私が質問してみたことは次のとおりです。

  • AIの進化について
  • カーボンニュートラルについて
  • SDGsに関する取組について
  • 進化する人型ロボットについて
  • EV(電気自動車)の将来性について

こういった「ワールドワイド」なネタについては、それなりに正確(と思われる)回答が返ってきます。いや自分がろくに知らないので、正解だと思っているだけなのかもしれませんけどね。

続いてちょっと専門的な内容をきいてみました。

  • 社会インフラにおいてDXを進めていく上での課題
  • コンクリートの充填不良の原因について
  • コンクリートのアルカリ溶出について
  • 日本の自然災害について
  • 日本の国家資格について
  • オートバイの魅力について

こういった内容については、ビッグデータの元ネタにどういったものが入っているのかにより、回答の内容が変わってきます。特に建設系の質問への回答については、建築が主体と思えるような内容や、「おや?」と首をかしげたくなるような内容が出てきます。「日本」に限った内容になると、その傾向は強まってくるように思いました。日本の国家資格の「技術士」についてきいてみたところ、特許技術士なんてのが出てきたり(そんな資格は存在しない)、技術士の部門が4つしかでてこなかったり、技術士法の制定年度が明らかにおかしかったり、試験で問われる資質能力が??だったりして、苦笑してしまう内容をまことしやかに返してくるAIを気の毒に思うときがありました。また技術士筆記試験の問題(例えば、I-1問題)を、段階的に質問した際には、それなりに読める答えが返ってくるけれども、題意を読み取らずにキーワードを判断して機械的に返しているのがモロバレです。使えませんわ。及第点以下です。

そして全く使えないのはローカルネタです。次のことをきいてみました。

  • 四国の有名な観光地
  • 四国の有名な食べ物
  • 四国の有名人
  • 四国の偉人

まあ、ボロボロです。県名や県庁所在地はさすがに間違えませんが、その他はまことしやかに嘘をついてくれます。

室戸岬が南国市にあったり、香川県の有名人が松本清張だったり、坂本龍馬が薩摩藩出身だったり、さぬきうどんが和歌山発祥で甘い豚骨スープが特徴だったり・・・。伊予鉄道が宇和島を走っていたり、中村線が室戸岬に通じているのに倒れそうになりました。(中村線のくだりは、遠回しに3セク鉄道でDMVのことを言っているのならば、おおまけにまけて了とするか?)

こういった調子なので、いきなりホワイトカラーの仕事がAIに奪われるようなことはないと思います。しかし、それなりに整った文章を返してくるし、今後ビッグデータ情報が精度を高めてきたならば、省力化ツールとして役に立つ時代が来るのではないかと思います。プログラムやエクセルVBAのコードも書いてくれるらしいですからね。大学では論文作成に使ってはいけないというお達しを出したところもある。逆に農林水産省なんかは省力化ツールとして使用を推奨している。混沌とした状況ですね。

また、文章だけでなく画像生成AIツールもあるようです。この分野にはなかなか手が出しにくいけれど、それなりの知識がある方はいろいろな画像を描いてもらっているみたいです。ところが「AI」がサイト上の既存画像を真似て作画する事件があり、著作権上の問題が発生しています。進化する技術に法制度整備が追いついていかない状況になりつつあります。

まことしやかに嘘をつくAI。人まねで文章や絵を描くAI。しかし徐々に精度は高めつつあるようです。使う人間の側に、それなりの見識が求められるようになるのは間違いありません。

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