沈下橋の構造

01沈下橋

 川が増水すると水没してしまう沈下橋。年間に何回も水没し激流にさらされる訳ですが、どういった構造をしているのでしょうか。四万十市の本川にかかる沈下橋を事例に解説します。

構造事例その1

鉄筋コンクリート単純床版橋(あるいは連続床版橋)と直接基礎

半家沈下橋
丈夫な地盤と直接基礎

 上流域では、岩盤など丈夫な地盤が浅い位置にあるため、掘削し丈夫な地盤を整形しその上に橋脚や橋台などの「下部工」を直接設置し、鉄筋コンクリート構造の「床版橋」を架けた構造のものが多いです。また昭和40年代(1965年頃)までに架けられた橋は、現場で鉄筋を組み、コンクリートを打設して構築した鉄筋コンクリート構造のものが多いようです。


構造事例その2

プレテンションPC単純床版橋と鋼管パイルベント基礎

岩間大橋
鋼管パイルベント基礎

 中流域・下流域では、丈夫な地盤の位置が深くなってしまい、掘削して下部工基礎を作ることが難しくなってきます。そういった支持地盤が深い場所では、鋼管を杭基礎として地盤に打ち込み、鋼管自体を橋脚などの下部工として利用する「鋼管パイルベント基礎」が主流になります。鋼管の頭部に鉄筋コンクリート製の台座を設け、その上に「床版橋」を架けた構造となります。また昭和40年代(1965年)以降は「プレテンションPC I桁 床版橋」(工場で丈夫な細い桁を製作し、現地で並べて一体化したもの)が出現します。工場製作品を使うことで現地作業が大幅に少なくなり、品質や工期の面で有利になります。


構造事例その3

鉄筋コンクリート単純床版橋とオープンケーソン(井筒)基礎

屋内大橋
オープンケーソン基礎

 中流域・下流域では、鋼管自体を橋脚などの下部工として利用する「鋼管パイルベント基礎」が主流ですが、現場で筒状のコンクリート基礎を掘削しながら製作する「オープンケーソン(井筒)基礎」が用いられている橋も存在します。戦後まもない時期につくられたので、資材や工事用機械が十分でなかったものと考えます。この形式は「屋内大橋」のみとなります。

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