※この投稿は旧サイトからそのまま記事を移行したものであり、内容は作成当時のままです。ご容赦ください。
1998.3.22
OS/2とは?
先日(といっても97年末ですが)久しぶりにIBMのOS/2(Warp4)を手に入れまして、Thinkpad535Eにインストールしました。
そもそも、「OS/2」とは何ぞや?とご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので簡単にご説明しますと、1980年代始めにIBMが「PC」を発表したとき、そのOSの開発をMicrosoftに委託し、MicrosoftはMS-DOSを開発(厳密にいうと86-DOSというCP/M互換のOSを買い取ってPC用に作り直したらしい)しました。その後MS-DOS上で動作するソフトウェアもたくさん発表され、PCの普及とともにMS-DOS(とMicrosoft)は我が世の春を迎えたわけですが、MS-DOSには不便な点(弱点)もかなりありました。
- 640KBの壁(当初のIntelCPU-8086の弱点-1MB以上のメモリ管理ができない-でもあった)
- シングルタスク/シングルユーザー
- コマンドインターフェイス(CUI)
- アプリケーションソフトがハングアップするとリセットするしかない
その後Intelから80286というCPUが発表され、16MBのメモリが扱えるようになりましたが、肝心のMS-DOSではCPUの機能を十分に使えませんでした(640KBの壁はMS-DOSの制約として依然として存在した)。
DOSの弱点を克服すべくDOS上位互換のマルチタスクOSとしてIBM/Microsoftにより開発されたのが「OS/2」です(そのころは「MS-OS/2」と言っていたようです)。ところが、OS/2は当時は高価だったメモリを大量に要求し、またOSそのものの価格も非常に高かった(昔NEC-98のカタログに載っていたもので\60,000ぐらいだったような気がした)ため、あまり普及しませんでした。その後MicrosoftはWindowsNTの開発に走り、このことがもとでIBMと袂を分かつことになります。Microsoftに言わせれば、IBMのお堅い手間のかかる手法についていけなかった。IBMに言わせれば、こっそりとOS/2と偽ってNTを開発していたことに立腹した。このあたりは、「闘うプログラマー」(日経BP)や「ビッグ・ブルース」(アスキー)をご覧ください。おもしろいです。
やがて80386/80486がIntelから発表され、Microsoftは以前から開発していたWindowsの最新版、「Windows3.0」を発表します。これが大ヒットし、その後のWindows3.1でDOSの流れを完全にWindowsに引き継ぐこととなります。あとはご存じWindows95大ブレイク。今年はWindows98だそうです。WindowsNTも、NT3.1は今ひとつでしたがNT3.51で飛び出し、NT4.0で俄然勢いづいてきました。サーバー部門においてもWindowsNTは多くのシェアを占めるようになってきたようです。
片やMicrosoftのトロイの木馬攻撃?で打撃を受けたIBMは、大改造したOS/2 2.1を発表します。DOSもWindowsも動くマルチタスクGUI OSですが、今ひとつ時流に乗ることができませんでした(GUIがダサかった?)。その後、OS/2 3.0でWarpと銘打って値段も安くして内容も少し変えて、山口智子もイメージキャラに使って売り出したものの、ちょうどWindows95の発表と時期を同じくしたせいかこれもぱっとしない。Warp3.0には、赤箱、青箱、赤箱connect、青箱connectといろいろ種類がありわかりにくかったことや、対応する周辺機器がWindowsほど多くなく、かつ最新のドライバが入手しづらいことがネックだったのでしょうか。Windows95発売前には「対決! OS/2Warp VS Windows95」といった特集記事を雑誌などで見かけることもありましたが、最近はOS/2の話題はほとんどみかけません。Warp4.0になって、GUIもだいぶマシになったし、ネットワーク機能/Win-OS/2機能も標準化されたし、NetscapeNavigatorもついてくるし、対応機器も増えたけど、ちまたのWindowsソフトは全部32ビット化されてWIN-OS/2で使えるものはほとんどありません。一太郎しかり、123しかり(MS-offi ceは当たり前か)。圧倒的劣勢、OS/2。
と、説明のはずが愚痴になってしまいましたが、
- DOS/Windows3.1対応ソフトで十分だという方
- Microsoft(Windows)がお好きでない方
- アプリケーションソフトが自作出来る方
- 人とは変わった環境が欲しい方
には、格好のOSではないでしょうか。長野オリンピックでも使われていたようですし(IBMだから当たり前か)。で、私は何に使っているかというと、
- WWW閲覧(でもNN/2のプラグインは少ない)
- IBMに「ここにもユーザーがいるぞ」と激励
- せっかく買った「一太郎forOS/2」がもったいない
独断と偏見によるOS/2インプレッション
Windows95との比較
長所
- 珍しい
- 本当の「オブジェクト指向」
- 充実したネットワーク機能
- OSがハングアップしにくい(ハングアップするほど使い込んでいない?)
- ファイルの関連づけがいろいろできる
- FDから本当の「OS/2」が起動できる
短所
- アイコンのデザインが野暮ったい(一皮フォルダを開けば・・)
- オンザフライで画面解像度の変更ができない
- やや動作が重い(ちなみにThinkpadにメモリは72MB)
- やっぱりソフトウェアが少ない
- ごみ箱がほしい(シュレッダは取り消しがきかん)
- OSは落ちないけどアプリがよく落ちる・・・
Macintoshとの比較
長所
- 珍しい(でもBeOSとかも珍しい?)
- フリーズしない(最近MacOS8.1にしてからはフリーズしにくい)
- ネットワーク機能が充実(でもAppleTalkは設定が簡単)
短所
- いろいろ設定項目が詳しすぎる(多すぎる)
- インストールが面倒
- GUIはMacに一日の長がある(Warp4はMacを意識した?)
- アプリもMacの方が遙かに多いぞ(特に画像関係)
- アイコンのデザインが・・・言うまい
今はそれほど使う機会のないOS/2ですが、ひょっとしたら「Java」がらみで面白い展開になるかもしれません。以外にネイティブアプリケーションも多くあるようです(多くは海外製ですが)。パワーのあるユーザーはいろいろ「カストマイズ」できる部分も多いようです。私はそれほどパワーがありませんので「カストマイズ」していませんが、「OS/2マガジン」にはいろいろ参考になる記事が載っています。次なる野望は、PM7600にG3カードを入れて、VirtualPCを入れて、その上にOS/2を入れて、WIN-OS/2を動かして、その上でBOWを動かして・・・もしくは、安いPentium機を購入して、OS/2専用機にしてみようかしら・・などと、いろいろ目論んでおりますがどうなることか。まずは先立つものが必要ですね。
- 性能が良くても、売り方(マーケティング)が悪いと成功しないという見本ですね。
- だいぶ前からWindowsも「無料」となりました。今後デジタルデバイスのプラットフォームはどういった道をたどるのでしょうか。新たな覇者が現れるのか?
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