※この投稿は旧サイトからそのまま記事を移行したものであり、内容は作成当時のままです。ご容赦ください。
2000.8.5
CADの世界
パソコンで文書や表を作るのはもはや「あたりまえ」ですが、今やCADも「あたりまえ」になろうとしています。技術者の皆さんパーソナルCADを使いましょう!!
私がCADの世界に足を踏み入れたのは99年の春でした。職場で土木関係の設計図を作ることが多いのですが、施工図や変更図が請負者からCAD出力されたものが出てくることが多くなってきていました。また、自分で図面を作る場合でも、災害復旧工事などは同じようなパターンの図面を作ることが多く、何とか省力化できないものかと思っていたものでしたが、やっと環境が整ったため、CAD導入が可能となりました。
- 職場でパソコンがほぼ一人に一台配備された
- 低価格で実用的な汎用二次元CADソフトが出てきた
- フラットベッドプロッタに代わる高性能のインクジェットプロッタが発売された
専用土木CADは40万円以上もするものがほとんどであり、またわれわれが作成する図面にはそれほど煩雑なもの(複雑な配筋図や鋼構造図)は少ないので、汎用CADで十分であると考えました。あとは部品/図面ライブラリを充実させる!!
JW-CAD
個人的に最初に購入したのは、解説本つき「JW_CAD」でした。が、問題が多く実用にはいたりませんでした。
- 画面解像度が非常に悪い(640×480 ちなみにNEC-9821でした)
- Windows95のDOS全表示画面で安定して動かない(一般保護違反続出)
- いまさらDOSベースのCADをやっても仕方ない(と個人的に思った)
- JWは土木には不向き(かな?)と思った
という理由で、JW_CADはボツ。今では「JW_Win」というのもあるようですが、いかんせんJWのコマンドを知らないため全くわからん・・・。
It’sCAD 土木
次に試してみたのが、インデックス出版から出ている「ItsCAD」シリーズです。これにはいろいろなバージョンがあり、「建築」「土木」といったシリーズもあります。その中の「It’sCAD2土木」を購入。半年くらいはこれをメインに使いました。
いいところ
- 値段が安い(¥5,600)
- シンプルな操作系、そこそこの機能
- なんと簡易配筋図作成・鉄筋表作成機能つき
- 単位・スケール切替機能つき
悪いところ
- メニューバーのメニューに「終了」がない
- 16ビットアプリなので、ハングアップするとシステムを道連れにする
- 同じく、画面のデザインが野暮ったい
- 線分への吸着ボックスが表示されない
- レイヤがデフォルトで99枚ある
と、いろいろ文句も書きましたが、CAD初心者の学習用にはもってこいでした(逆にこのときの学習が、後のAutoCADでの障壁に・・・)。災害の査定設計図はほとんどこれを使って作成してしまいました。お世話になりました。なお、「ItsCAD」シリーズには、32ビット化された「ItsCAD pro」シリーズもあり、こちらも試してみました。
It’sCAD 土木Pro
これもインデックス出版のものですが、実用性は???でした。
- ツールバーが画面上に煩雑に出てくる
- ツールバーを整頓すると、ますます煩雑になる
- そのため、作業エリアが狭くなる
- 印刷がめちゃくちゃ
- pro形式で保存すると、ファイルの互換性がない
以上の理由で、この「pro」シリーズは不可と判断。
AutoCAD LT98
ItsCADにも慣れたところで,次なるステップアップを考えました。理由は、
- プロッタメーカー(武藤工業)のサポートがItsCADシリーズでは「?」だった
- 16ビットアプリの問題と、proシリーズの不調
- 請負者とのファイル交換時の問題
などがありました。
災害のおかげ(?)で残業代も入ったし、ぼちぼちメーカー系のCADをやってみようかと思い、ついに「AutoCADLT98」の購入を決断。しかし、最初はかなりてこずりました。
- スケールの設定がない!!
- 文字の設定が煩雑
- 寸法の設定が煩雑
- 印刷される線の太さの設定が煩雑
- Windowsアプリなのに結局はコマンドベース!
ItsCADにすっかり慣れ親しんでいたせいで、最初は1枚の図面を描くのに「非常に」時間がかかりました。何度やめようかと思ったか・・・。しかし、大枚はたいて買ったCAD、ここでやめたら水の泡と思い、とても親切(嘘)なマニュアルやら、LT98解説本やらとにらめっこし、何とかものにできるようになりました。すると不思議なもので、今まで使いこなしていたItsCADが非常に使いづらく、また不十分なものに思えてなりません。
- コマンド入力に慣れたら作業が格段に速い
- 豊富な作図補助機能
- 他アプリからのコピーペーストも安定して動く
- 図面の精度が格段に違う
- 固まることが少ない
- プロッタメーカーのサポートも速い
もう、LTなしではいられない。
AutoCAD LT2000
LT98に慣れてきたころ、LT2000へのアップグレードが可能となり、LT2000へ乗り換えることにしました。
LT98とLT2000の主な相違点は、次のとおりです。
- 98では印刷(プロッタ)の設定で色ごとに線の太さを設定する必要があったが、線分ごとに太さを変更可能となる
- 線分の太さが画面でも確認できるようになった
- プロパティボックスでたいていのことは確認・変更可能となる
2000になって、使い勝手も良くなりましたが、使うほうの機能も多少上がってきました。上級者にとっては簡単なことなのでしょうが、
- 寸法の設定でも悩むことが少なくなった
- 異縮尺の図形を一枚の図面に作画するときに、寸法ごと拡大していたものをあとから寸法を記入するすべを知った
- 表示単位のmmとmの切り替え方を知ったこと
- フィレットコマンドが便利であることを知った
- UCSの使い方を知った
- モデル空間とペーパー空間の使い方・概念を知った
- エクセルで座標の計算をさせておき、計算結果をコマンドラインに流し込むと自動的に作図してくれることを知った
もう製図はLTなしではできなくなった・・。最近定規とシャープペンを持つことが非常に少なくなりました。ますます漢字を忘れるかも。LT2000に慣れたところで、係内のPCにLT2000と同ソフト上で動く「CivilLT2000」(構造計画研究所)を導入してもらいました。
Civil LT2000
AutoCAD2000には標準でマクロ機能(VBAによるプログラム機能)があり、ユーザーでカスタマイズが可能ですが、残念LTにはその機能がありません。「LTBasic」など、別売りのソフトを購入しカスタマイズすることは可能なようですが、業務専用にあつらえたものもあるようです。そのうちのひとつが構造計画研究所の「CivilLT2000」です。
- 縮尺設定機能
- 三斜計算機能
- 簡易配筋図作成機能
- 曲線寸法作成機能(・・AutoCADには標準では曲線寸法がないのです!!工夫すればかけますが)
- 土木矢印機能
- 土質断面図作成機能
- 土工協標準レイヤー機能
などです。
が、このCivilLTはAutoCADLTの上で動作するため、CivilLTのコマンドを使うとかなり動作が遅くなります。また、UCSなど便利な機能が使えなくなります。\98,000(定価)で上の機能を買うほうを選ぶか、素のLTをサクサク使いこなしてカバーするか・・・あなたならどちらを選びますか?
ちなみに私は「レイヤ」と「フォント」が気に入ったので、CivilLTを使い「図面テンプレート」を作成し、それを雛型に「素のLT」を使っています。LT2000も早くもバージョンアップして、「2000i」になるらしい。何が変わるか?たいして変わってないような気がするが・・・。
それより、今度は「3D_CAD」に挑戦してみたいです。とりあえず「TURBO CAD」あたりを狙っていますが、どんなものでしょうか。
- 2D-CADが導入されたことで、職場の生産性は格段に向上しました。慣れるまでは大変でしたが。
- 2022年現在、職場の標準CADソフトは「EX-TREND(武蔵)官公庁バージョン」に変わっています。
- CADはソフトごとに操作が異なるので、武蔵に慣れるのも一苦労。最近は図面を描くこともありませんが、さすがに閲覧・印刷ぐらいはできないとダメでしょう。
- BIM/CIMの導入で、建設ICT関係は今後また大きく変わりそうです。
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