40歳代半ばで技術士受験を思い立ち、久しぶりにシャーペン持って字を書き、悪くなりつつある目で参考資料を読み、試験対策セミナーに高知市や松山市まで走る。衰えつつある体や脳には、なかなかつらいことです。試験は若いうちに受けた方が楽ですが、少しでも効率の良い勉強法を見つけ出すことも、合格への近道ではないでしょうか。
1.準備物
まずは部屋です。やはり、周囲に人がいたりテレビがあったりすると、どうしても勉強に集中できないことがあります。特に筆記試験のトレーニングには、2時間程度集中して字を書き続ける必要があるので、部屋に加えて「机」と「椅子」は必須です。近年はネットで技術情報やトピックを仕入れることも簡単にできますので、パソコンもあればなお良いです。なおPC利用の場合は、ネットで検索しているときに「関係ないサイト」ばかりを見ないように注意が必要です(^^;)。
あと、勉強部屋と寝室に「技術士を取得する」と、張り紙をしました。 モチベーション対策です(・・実はちょっと恥ずかしいけど・・)。
- 部屋
- 机・椅子
- パソコン
- 張り紙
2.資料
何を参考資料とし、何について勉強するかですけど、技術士建設部門での出題内容は、「国土交通省」の「施策」に関するものが多くあります。品質確保、少子高齢化対策、社会資本の老朽化対策、新しい調達方法など、国土交通省のHPや、国土技術政策総合研究所のHPにある、施策や研究成果に関するpdfファイル類はとても参考になります。あとは、「過去問題」を読み解き、現在の事情に合わせた解答例を作って対応することです。
- 国土交通白書
- 国土交通省等の施策・技術に関する資料(HPの総合政策など)
- 技術士試験過去問題(日本技術士会HPに過去問題はあります)
- 雑誌・専門誌(日経コンストラクション、土木学会誌など)
- 環境省資料(白書、廃棄物、水関係資料)
- 厚生労働省資料(高齢化白書)
- 示方書等(コンクリート標準示方書、道路土工指針など)
- 専門書(コンクリート関係、廃棄物関係、調達関係)
- 受験参考書(日経BPなど各社から出ています)
- 単語帳(キーワードを記録、休み時間や移動時間に活用)
3.勉強法
受験した数年は、学生時分に戻ったかのような夜を過ごしていました。ちょうど病気で好きな酒も飲めなくなっていたので、勉強できる環境になっていたのかもしれません。これも慣れたら不思議なもので、机に向かうことがつらくなくなります。
- 目標1日2時間は勉強する(あくまで目標。一日一回は机に向かう癖をつける。)
- 土日は4時間以上勉強する(これも目標。試験本番をイメージし長時間記述もやってみる。)
- たまには息抜きもする(気分転換(私は走った)、週末には「ちょっと一杯」も大事です。)
記述式試験の場合は、「丸暗記」は意味をなしません。試験は全く同じ問題がでるわけはないので、解答の骨子をその都度作成し、答案用紙に記述する際に「肉付け」していく感じです。そのためには、「キーワードを覚える」「キーワード間の関連性を覚える」「骨子を固める」のが最善です。
- 問題で問われている内容を理解し、その背景を考える。
- 解決すべき課題を見つけだす。
- 課題解決の足かせとなっている問題点を把握する。
- 問題点を解消し、課題を解決するための方向性と具体策を出す。
- 方策を実施した後に起こる問題を予測し、解決方法を示す。
「必須科目」や、「選択科目3」は、こういった流れになろうかと思います。ただし、「選択科目2-1」のような問題は、「解答そのもの」をズバリ書く必要があります。設問がそうであり、解答用紙も限られている(1枚もしくは2枚)のため、論法を展開している時間もスペースもありません。
令和元年度(2019年度)から試験内容が変更となりました。
大きくは、必須科目での択一試験が廃止され、記述式となりました。また、選択科目においても、今までにも「2次リスク」や「残留リスク」について「留意点」といった表現で説明を求めていたものが「選択科目3」にはありましたが、日本技術士会が示 している「技術士2次試験実施大綱」や、「技術士試験の概要」において、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)が明確となっており、(詳しくは日本技術士会HPをご確認ください)それを踏まえた出題となっています。
単純に「課題抽出」「問題解決」を問うだけではなく、リスク管理や技術者倫理など、掘り下げた解答が求められるようになっています。この傾向は「口頭試験」において顕著であり、「技術者としての実務能力」として、次の能力が問われるようです。
- コミュニケーション力
- リーダーシップ力
- 評価、マネジメント力
出願から試験は始まっている
技術士二次試験は、難関といわれる筆記試験を突破することに重きを置きがちになりますが、実は受験申し込みから試験は始まっています。しっかりとした経歴と、技術力(科学的な判断に基づいたもの)をアピールできる詳細業務を出願時点で書いておかないと、例え筆記試験に合格しても、そのあとの口頭試験で泣くことになります(私もそうでした)。
2019以降は、修習技術者ガイドライン等に示されている「コンピテンシー」の確認に主眼が置かれているため、口頭試験の際に出願書類に書いた業務詳細を説明する時間はほとんどありません。従って、試験官が一読して理解できる内容で提出しないと、口頭試験で苦しい状況に陥るおそれがあります。
- 1.業務経歴が選択した科目と相違していないか。
- 2.詳細業務の内容が、選択科目にふさわしいものか。
- 3.詳細業務の内容が、高い技術力をアピールできるのになっているか。
- 4.リーダーシップ、マネジメントについての説明ができるか。
これらを、「出願書類を書いた本人」だけで、十分に練ることは、なかなか難しいと思います。
他力に頼ろう
例えば、私のように、周囲に技術士もいないし、受験に関する情報にも乏しい環境に置かれている場合は、ぜひ「他力」に頼ってください。やはり「自力」には限界があり、出願書類の点検、記述式解答のチェックには第三者の視点が必要です。
「sukiyaki塾」をはじめとする、技術士試験対策フォーラム等を活用し、ひとりよがりにならないように気をつけましょう。
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